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そこまで言って、涙が一気に溢れだした。
壊れたダムのように、流れる涙はとどまるところを知らない。
『…』
熊がふーっと溜め息をついた。
あたしは泣いてるのを悟られないように少しだけ携帯を顔から離す。
『…わかった。葵、俺と紗智が最近連絡とってたのは朋哉のことだ。翔太も、祐輔も、雪奈も』
皆、連絡とってたの?
あたし一人だけ何も知らなかったという事実にショックを受けていると、熊が朋哉が、と呟いた。
『葵には連絡しないでくれって』
そう言って、また黙ってしまった。
そんなに朋哉に嫌われてしまったのか、とまた涙が溢れそうになる。
『後の判断はお前に任せる。朋哉に会いにいくなら、行ってこい。…後悔しないようにな』
そう言って、熊は電話を切った。
そのすぐ後に、熊からメールが届く。
知らない住所と電話番号。
それから仕事の場所と時間。
事細かに書かれたそのメールに、ありがとうと返信をして、あたしはポケットに携帯を仕舞った。
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