懐古

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「すいませーん」 そう言って半裸男子がボールを取りに来たので、とりあえずボールを拾って渡す。 半裸男子はボールを受けとると、にっと笑って頭を下げた。 「ありがと。あんた一年?」 そう笑顔で問われ、あたしもつられて笑顔で頷く。 あたしが笑ったので気をよくしたのか、半裸男子はあたしの右手を掴んでぐいぐい引っ張る。 「ちょ、ちょっとッ!」 「せんぱーい!新入生ゲットしましたー!」 そのままサッカーをしていた輪の中に引きずり込まれ、品定め上等、皆の視線を集めることになった。 「な、な、な、」 しばらくじーっと見られた後、一番前で見ていた背の高い男の人が目尻を下げて笑った。 「ようこそ我がサークルへ!」 「…は?」 何がなんだかわけがわからない、助けを求めるために友人が座っているであろうテラスへ視線を向けた。 …いない。 あたしを置いてどうやら帰ったらしい。 「あの、ちょっと何のことかわからないんで、帰り、」 ます、と言って踵を返しかけたところで、半裸男子にまたしても腕を掴まれてしまった。 な、なんなの、厄日ですか、今日!
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