懐古

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大学に入学して半年が過ぎた。 季節はあっという間に秋から冬に変わろうとしている。 赤や黄色に色づいた木々はその葉を落とし始め、月日の流れを物語っていた。 あたしはというと、何故か毎日のようにあのサッカーサークルに顔を出している。 それと言うのも、毎日毎日うざいくらいに連絡をしてくる、彼のせい。 「葵ー見ててね!俺シュートしちゃうんだから!」 「うるせー朋哉!お前のシュートなんかじゃ俺のゴールネットは揺れないんだからね!女子は皆俺の素晴らしいキーパーっぷりを見ろ!」 「祐輔、よそ見してんな!負けたら今日の飲み代こっちのチームがもつんだぞ?!」 楽しそうにフィールドを駆け回る男と、それを笑いながら見る女子達。 何がどうしてこうなったのか、あたしはサークルに入りもしないで、他のマネージャー達とともにフィールドを見ていた。
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