懐古

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「ね、ね!葵はやっぱり朋哉と付き合ってるの?」 「は?!」 隣から話しかけてきたのは、同じ一年生の紗智ちゃん。 肩までの栗色のボブを揺らしながら、あたしに耳打ちしてきた。 「付き合ってないよ!」 「でも、毎日サークル来るよね?彼氏を見に来てるんじゃないの?」 「違うから!来ないと学部まで迎えにくるって脅されてるから…!」 そうだ、朋哉くんは女子ばかりのあたしの学部まで本当に迎えに来る。 女子ばかり、つまりそんな場所に男が来るなんて、あっという間に噂が広まってしまうのだ。 あたしは六月に身をもって体験した。 面倒くさいことこの上なかったので、もうこりごりだ。 どうしてあたしなんかを気にするのかわからないが、朋哉くんはあたしを絶えず気にかけてくれる。 …彼女、いるのに。
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