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「‥ちっ、何すんだよ…」
「遅刻、するよ。仕度して」
「うっぜぇな、命令すんなよ」
ガリガリと頭を掻きながら立ち上がる春陽は僕を睨み付けて部屋を出た。
階段を降りる音と、暫くして水の流れる音がした。顔を洗ってるんだろう。
春陽は中学に上がる頃から急に乱暴になった。
前はどっちかというとボーッとしていて、僕がついていないと危なっかしい印象があったのに。
今や彼はこの街をしめる不良グループの幹部である。
でもおっかないけど小さい頃の優しい春陽は消えてないから一緒に居る。僕は春陽が好きだし。
春陽は僕に暴力を振るったことはないから。
「千早」
「なに?」
「制服、探して」
「はあ!?」
「どっかいっちゃった☆」
テヘッと可愛く首を傾げた春陽に微かな殺意を抱きながら荒れ果てた室内を漁った。
お茶目なところも憎めないけど、苛々するよね!
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