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春陽の制服を探しあてて(なぜかベットマットの下にあった)家を出るとき、秋影さんと入れ違った。
「あれ、まだ出てなかったの?」
「あっ、はい。春陽が…」
「こら、春陽!二度寝したんだろ」
「うっせぇ、馬鹿兄貴。遅刻するから行くぞ、千早」
「え、待ってよ!じゃあ、行ってきます、秋兄さん!」
「うん、いってらっしゃい!」
走り出した春陽の背中を追って僕も秋影さんに挨拶をして走り出す。
秋影さんはゴミ出しをしたあといつも町内を散歩してから家に戻るから、二度も会えるのはとても珍しい。今日ばかりは春陽に感謝したくなった。
キーンコーン
カーンコーン―――‥
学校でお馴染みのチャイムが鳴る頃には感謝の気持ちなんて1ミリもなくなってたけれど。
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