友達のいない少年

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「でも、これオカ研が主催じゃん」 『オカ研』というのは、オカルト研究会のこと。時々こういったことをしでかす、校内では有名な変人集団だ。 そんな彼らの主催イベントだ。参加者はきっと少ない。いないといってもいいだろう。 「いいじゃん。なんかあそこ面白いし。まあ、とりあえず内容だけでも見とけって」 友人に促され、彼は七不思議の一覧表とその説明文に目を通す。 『段数の変わる階段』、『トイレの花子さん』、『音楽室の笑う肖像画』など、有名な怪談が並んでいる。それぞれに説明文があり、それらしくしているものの、本当にこの学校の七不思議なのかどうかは疑問だ。 半ば呆れながらそれを読み進めたのだが、七つ目の不思議に差し掛かった時、眉をひそめた。 『友達のいない少年』。そんな名前の話だった。聞いたことがない話であるため、その説明文にはしっかりと目を通してみることにした。 『中山俊喜には友達がいなかった。だから、友達が欲しかった。友達に、なってくれる?』 男子生徒が眉をひそめる。フルネームが示されている怪談などあまり多くはない。それに対する違和感にだろう。 「じゃ、その日の予定開けとけよ?」 男子生徒が顔を上げると同時に友人はそう告げて去って行った。彼の引き止める言葉には耳を貸さずに。 こうして彼のツアーへの参加が決まったのだ。
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