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「かばってくれる友達さえいれば、死ぬことはなかった。彼が友達を求めるのは当然ではありませんか?彼の無念が伝わってきませんか?中山俊喜の無念が!」
悠一がフェンスまでたどり着くと同時に始まった大和の説明には、他の場所のものよりも熱がこもっている。
「岸中先輩……?」
悠一が怪訝そうな表情を浮かべる。直後、俯き、口を動かす。そこからゆっくりと誰にも聞こえないような小さな声を出す。
漏れた言葉は、『中山俊喜』そして『岸中大和』。数回つぶやいた後、何かに気付いたかのように目を見開いた。
悠一の体は微かに震えだし、不安に満ちている。やがて決意したかのように、ゆっくりとその口を開いた。
「……先輩は、三年何組なんですか?」
「……二組ですよ」
大和が発したその言葉が全てを結びつける。
岸中大和は、中山俊喜のアナグラムだ。
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