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「先輩、質問しても、いいですか?」
「どうぞ?」
暗闇の中で大和の表情はよく見えないのだが、なんとなく薄く笑っているような気がする。
「七つ目の不思議の説明文、誰が書いたんですか?」
「……僕ですが、それが何か?」
悠一の顔が引きつる。体は先程よりもさらに大きく震えている。
「……何故、あの説明文だけ、何故、本人が書いたかのようにとれる文体なんですか?」
大和はその質問に答えず、黙って立っている。その言葉を待つ悠一の額には脂汗が滲む。
「……アハハハハハハァァッ!」
大和が不意に笑い出す。狂ったように、とめどない笑いがその口から溢れ出る。
大和がゆっくりと悠一に歩み寄る。悠一の不安を煽るかのように、ゆっくりと。
「どうやら、気付いてしまったみたいですね。そうです。僕が、中山俊喜ですよ」
ようやくはっきりと表情が見える距離まで近付いた大和の顔は、濁った目を見開き、気味が悪い程に口角を上げて笑っていた。
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