【世界観】西暦3012年

3/4
前へ
/6ページ
次へ
今回打ち上げられた宇宙探査艇「ミライ」は木星宙域に浮遊していた小惑星を調査するために作られた。 学者たちはその小惑星については興味がなかったようだが、私はそうは思わなかった。 なぜなら、その小惑星は定期的に小爆発が起きたかのようにチカチカと発光するからである。異質な恒星などと学者は言うが、調べてみなければ断定はできない。 そこで小惑星の表面を削り、その物質を採集できるように「ミライ」を設計した。 やはり今の技術では探査艇1つ作るのに、時間も技術もさほどいらない。が、費用は昔から変わってはいない。 研究してきた物理学を書籍に残して入ってきた印税や研究に対する報酬金を叩いてまで私は作り上げた。 人類のミライを…。 約1000年前から母なる星「地球」は人類の文明の発展と共に資源が激減してしまっていた。 バイオテクノロジーなど試行錯誤してきた人類だが、やはり今までと比べるとその量は僅かなものだった。 石油や石炭…自然資源に代わる新たな資源を見つけなければ、人類の存亡は時間の問題と化していた。 地球にあった資源は使い果たした――ならば、宇宙の資源はどうだろうか?私はそう考えたのだ。 地球に資源があったように、宇宙にも活用されていないだけの資源が眠っているのではないのか…と。全財産をかけた賭けだった。 そして今日、人類の――私のミライは明るく照らされるだろう。 宇宙探査艇「ミライ」が小惑星の表面の小石の採集に成功したのだ。 ただそれだけのことだろうが、私にはそれ以上に嬉しかった。  
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加