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「ねえ、聞いてほしいの」
「忙しいから、あっち行ってて」
「でも」
「言うこと聞いて」
姉にあしらわれ、しょげかえりながら部屋を後にする希枝。
休日ですら、家族は取り合ってくれない。大人に近い人でないと、意味がないのに。
「悪い、これから出掛けるんだ」
「そういう事は、お姉ちゃんに聞きなさい」
長男も三女も、忙しそうに家を出る。誰も希枝の話を聞こうとしなかった。
それでも希枝は諦めない。
ただ、両親だけには聞くことはしなかった。
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