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ようやく、私の時間帯がやってきた。 みんなが一家団欒をしているのを、玄関に向かう途中で見つける。 いつも賑やかで、大好きな私の家族。その家族は私に見向きもしないで、話に夢中だ。 たまに六女の希枝がこちらを見るのが、気にはなるけど。 少し悲しくなって、私はそっと玄関を出た。綺麗な満月と澄んだ空気が、独りの私を出迎えてくれた。 思わず解放された気持ちになって、嬉々として空を飛び回る。あっという間に、家が小さくなった。 でも、満月はまだまだ遠い。手を伸ばせば簡単に包み込めるのに、掴むことはできなかった。
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