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マネージャーが「沙織さん指名。絢香さんフリーに付いて」と呼びに来た。
「失礼します」
『あら、良い男。でも遊び慣れてる感じ。私の指名客にはならないな…』そんな事思いながら席に付いた。
沙織さんの指名客は常連の政さん
乾杯が終わるなり政さんが
「こいつ俺の同級生の祐輔。この写真こいつの結婚式の時の俺。25歳だったな~若かったな~
沙織ちゃん絢香ちゃん、こいつにキャンディーズの曲聞かせてやってよ。祐輔、この2人のハモリ最高だよ」なんて乗せられて歌いだす。
『結婚してるんだ、ちょっと残念…まっ政さんの同級生だから当たり前か…』
ちなみに政さんは40歳。
「懐かしいな~歌上手いね俺一度この店来てるんだけど絢香ちゃん居た?」
「居ないと思うよ、私入って3週間位だから」
「絢香ちゃん地元何処?」
「茨城だよ。色々あって去年東京に出てきたの。今は晴海の友達の所に居候してる。23歳の時も東京で働いてた。」
「東京何処?」
「五反田、競馬の騎手と付き合った事もあるんだよ」
「えっ、誰?名前は?」
「荒井だけど…」
「げっ!最悪」
『何なの?初対面なのに何かムカつく…』と心の中で呟きながら「何…」って言おうと思ったらマネージャーが「絢香さん、ありがとうございます」って呼びに来た。
「話し途中だから場内指名するよ」とマネージャーに祐輔さんが言った。
『さすが遊び人慣れてる』と思いながら「ありがとう」って私が言うと、
「荒井って俺の中学の先輩はっきり言って俺、あいつ好きじゃない。あんな奴と付き合ってたの…」
ちょっと2人の間を変な空気が流れる…
「ごめん、絢香ちゃんの事良い女だと思ったから何か荒井と付き合ってたって聞いたら剥きになった」
『あら、嬉しい事言ってくれちゃうね』そう思いながら
「別に良いよ。本当にあいつ最悪だったし」それからは暫したわいのない会話。
「俺、設計事務所の社長なんだ。店舗設計もやってるから自分で設計からプロデュースした店をやってるから、今度連れ行ってあげるよ」
「行ってみたいな、私(水)が休みだよ」
「じゃ次の(水)7月1日はどう?ドタキャン無しだよ」
「大丈夫だよ。じゃ、これが私の連絡先だから」
と連絡先の交換。
休みの日に指名のお客さんとだって会わないのに、まして初対面のお客さん。
でも、なぜだかこの時何の迷いもなく素直に『祐輔さんと食事に行きたい…』そう思ったんだ。
これが私と祐輔さんの出逢い。
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