八重さんとわたし

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きっかけは、父の一言。 「…俺はおじいさんの実子じゃないんだ。」 昭和19年生まれの67歳の父がわたしにそう言った。 遡れば、父の先祖は、代々、警察の人だったらしい。(父曰く、地位は低いらしい。) 当然、父の祖父も警察の人間で、長男である私の祖父は、 警察の道を歩むのが嫌だったらしく、違う道を選び、 祖父の弟、つまり実の父が、家を継いだが、父が産まれる前に戦死。 祖父の他に弟がいたが、幼かったのと、父の祖父も病死したため、 祖父が弟の嫁(わたしの祖母)と夫婦になったらしい。 幼い頃の父は、両親ではなく、父の祖母に育てられたと言った。 その話を聞いた時、思い当たるところがあったせいか納得した。 祖父が亡くなった時、父の兄弟は、長男である父が喪主をやることに反対していた。 あれは、父だけ祖父の実子じゃないから、反対していたのか。 納得した反面、わたしは父に、疑問をぶつけた。 「わたし、おじいさんにとって、可愛くない孫だったんだね。」 「…その話なんだがその…高校の修学旅行先で、知らない人に声を掛けられたと言っていたよな?」 父の言葉がきっかけに、わたしは祖父が生きていた証というのか、 何故、わたしが祖父のことが嫌いなのか、そのきっかけに興味を持った。
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