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私はいつも笑ってた。
楽しくもないのににこにこ。
この世界で生きていくために、居場所を失わないために笑い続けた。
別に辛くはない。
その道を選んだのも私で、昔からそうだから、ただストレスがないわけじゃない。
だから、たまに思いを心にぶちまける。
そう、私が少し我慢すれば、私の世界は平和。
何て幸せな世界なんだろう。
「桜ちゃんっ!これ先生が渡してってさ!」
想像を破壊された。
まぁいいけどね。
「あぁ、先生が。佐伯さんわざわざありがとう。」
ニコッと笑えば男女問わず、ぽわぽわした表情で、私を見つめ惚れ惚れして去ってゆく。
そして、決まって言うのだ。
「桜ちゃんホント可愛い///」
「桜、ホントに可愛い//」
「ん?」
後ろを振り返ると、私の高校からの友人、七坂真弓(ななさか まゆみ)ことまーちゃんが笑顔で立っていた。
「いたなら話し掛けてよ、まーちゃん。」
「さっき来たばっかだからさ、しかも話してたし!てか、桜はホントみんなに好かれるね。」
上辺がね。
何て言えるはずもないから、そんなことないよと一言返しておいた。
「またまたー謙遜しちゃってー!」
そういいながら、まーちゃんは笑った。
私よりずっとまーちゃんの笑顔の方が眩しくて、可愛く思える。
だから、私は彼女が疎ましい。
素直で、率直にものが言えて、たまに空気読めないけれど、いつだって前向きに人を信じていた。
その姿はまるで、私の醜さを移す鏡のようで、見ているのが…隣にいるのがたまに辛い。
でも、近くにいることをやめられない。
そんな、まーちゃんには好きな人もいて、普通の女の子って感じがうらやましく思う。
「おはよう!桜に真弓!」
「いてっ隆治何で私の頭の上に鞄乗っけんのさ!?」
「そこに真弓の頭があったから」
「お前はどこぞの登山家か!?まったく…桜も何か言ってやってよー。」
このどこぞの登山家ならぬ。
佐々木隆治はまーちゃんの想い人で、クラスの女子にも大人気。
この明るくて優しくてかっこいい見た目なら当たり前だと思うけど…
「やめろよなー桜は俺の見方だ。」
「え?私は可愛い女の子の味方だよ。」
「マ ジ か よ!?」
「はははは!フラれたねざまぁ!」
「うるせぇよ!」
見たとおりこの二人は仲良しで、クラス公認のカップルといってもいいくらいな感じ。
みんなに優しいけど、隆治くんの本命はきっとまーちゃん。
大好きな二人がくっつくなら私は幸せ。
たとえ私の想いを捨てることになったとしても。
「私は飛べないピエロ」
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