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その問いに旺太は笑いながら答えてくれた。
おまけとばかりに俺の頭を撫でて。
「聞いたのは李緒に妹ができるって話だけさ」
「詳しくは本人に聞いたらって」
珠璃は灰兎も全部は教えてくれなかったのよね、なんて笑いながら繋げた。
菜奈恵はなんだか複雑そうな表情で李緒に視線を投げる。
まあ、開始早々にお説教というかいつものお叱りな流れだったもんね。
こんなにシリアスになるだなんて誰が予想したよっていう。
「いや、母さん妊娠してない」
「え?愛人?」
「ちげーよ」
俺のコメントに素早く突っ込む李緒は深く息をはいた。
そして、言葉に迷ってるのか一瞬視線が揺らぐ。
「……正真正銘血は繋がってるし、母親も同じ」
「どう言うこと?」
菜奈恵が怪訝そうな顔で李緒に返す。
それもそうだ。
血も繋がってて、母親も同じだっていうのに妊娠してないのは可笑しい。
年の離れた妹が生まれていたにしても、そんな話は一度も李緒から聞いてないし、それなら今日こんなことを言う方が変だ。
「生まれてすぐに母さんが捨てた俺の双子の妹らしいよ」
その時の李緒の表情はとても複雑そうだった。
「捨てたって……」
「正確には育児放棄。 見かねた父さんが幼馴染みに養子に出したらしいんだよね」
だから血も繋がった正真正銘俺の妹ってわけ、と語る李緒。
表情は複雑そうだが、言葉尻は明るくおちゃらけたような振る舞いだ。
シリアスが苦手だって口癖のように言うしな。
「まぁ、お家事情ってやつー?」
一歩間違えれば養子に出てたのは俺だったかもねえなんて更に笑う。
流石にそこは笑うところではないと思うんだ。
それでも、茶化そうとする李緒に皆は流されてやることにしたらしい。
旺太が一瞬呆けた後、ニヤリと笑い李緒の頬をつまんだからだ。
「お前が孕ましたんじゃないかとヒヤヒヤしたんだけどなぁ。 生徒会長の身内のスキャンダルは勘弁してくれよ?」
「ひふぇーほ、ははほうふぁ(しねーよ、バカ旺太)」
そのやり取りを見て、漸く菜奈恵はクスリと笑った。
菜奈恵が笑うので俺も笑う。
「まぁ、ハリセンが使えないのは残念ね」
「愛が痛いよ、奈菜ちゃん?!」
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