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そうして茶化し切ってしまえば、いつもの昼休みの空気だ。
だから俺もちゃんとそれに乗っかる。
「っていうか李緒。 菜奈恵を貰うなんて、俺はまだ許可してないからね」
だって、菜奈恵はまだまだ俺の大事な、大っ事な幼馴染みだもん。
「その台詞、女子制服着て言ったって意味ないでしょ」
……珠璃にいたい突っ込みを頂いた。
何を隠そう俺こと、尚は学園でも少数いる女装男子なのだ。
勿論理事長に申請出して、女子制服通学の許可も得ている。
生活指導にだって引っかからない。
この学園、校則自体が緩いからなんだけどね。
それから何やかんやで楽しい昼休みは終了し、俺は赤兎もいるC組に戻った。
悔しいことに菜奈恵とはクラスが離れたのだ。
まぁ、隣のクラスだから良しとするけど。
「お、尚。 李緒から聞けたか?」
この黒髪赤メッシュのいかにも不良ですな出で立ちのバカが赤兎だ。
鼻の頭をいつも怪我してるのか絆創膏がトレードマークだ。
李緒の従弟で旺太の恋人の弟でもある。
「聞いたよ。 複雑な関係の妹が来るらしいね」
俺がそう返すと赤兎はせやね、と笑った。
そしてそれを引っ込めて真面目な顔でこう言った。
"李緒とその子、当主争いすんねんて"
――それが後に深く関わるキーワードになるなんて、その時の俺は知らなかった。
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