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不意に誰かの声がして、僕は身を起こす。
声がした方を見ると、巫女さんがいた。
……しかし、腋の部分がすっぱり空いた、妙な巫女服を着ている。
「君は……?」
「人に名前を聞く時は、まず自分から名乗るべきじゃない?」
「あ、そうだね。
僕は………………僕は……えっと。」
「どうしたの?」
「それが……名前が思い出せなくて。
自分がなんでここにいるのかも……分かんなくて。」
「記憶喪失ってわけ?
珍しいものね。記憶喪失の幽霊なんて。」
「え?幽霊?」
「そうよ。あんた幽霊。気づいてなかったの?」
幽霊……僕が……
ではやはり、僕は死んだのか。
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