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あれは確か…そうでござるな、某がまだ弁丸と呼ばれていた時の事でござった。
あの方──……政宗殿と出逢ったのは、正に偶然でござるな。
───────………
某は、あの日もお館様の元で鍛練をしていた。
佐助は忍の癖に、どこぞの母親らしく飯を作ったり掃除、洗濯をしている。
鍛練するにも、今の時間帯では鍛えてくれる相手もいない。
まだ型がきっちりと入っていないらしく、佐助には鍛練をするたびに叱られているのだが……
某はその時まだ七つで、佐助とは二つしか違わないのだが…
今考えれば、少しムッとする。
その時は真夏で、太陽が怖い位に照り付けていた。
某は何も考えず、ただたんに気分で近くの山───確か、栢原山(カヤハラヤマ)と言った山でござろうか───に登った。
この山は、桜の名所と呼ばれていて、春には沢山の花見客や観光客で一杯になるのでござる。
とは言っても、あの時は夏なので青々とした葉っぱが繁っているのでござるが。
行楽地なので登りやすくその上、天辺(頂上)の景色はとても綺麗なのでござる。
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