面接

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 ゴクッ生唾を飲む。  そりゃそうだ。  お金が欲しくて面接に来たんだ。  隣に居た兄ちゃんが、我慢出来なかったんだろうね。 『いくらぐらい稼げるんですか』  自分の鼻の頭をトントン叩きながら、その人が言う。 「月に80万。これは目安だからね。稼ぐ子はもっと、ダメな子は…」  オレを見てニッと笑った。  歯の矯正って、痛くないのかな。そっちが気になるんだけど。 「仕事はそんなに難しい事じゃなくてね。分かるかな?『売り専』って。 この中に、ゲイの子要るかな?」  矯正は一人ずつ顔を覗き込む 「キミ、ゲイだよね。ごめん、ウチはノンケが売りだからさ」  な…やっぱり!  新宿二丁目。  世界一に有名かつ、世界で一番の大規模な同性愛の街。  この時全てが確証に変わった。  ゲイ相手に身体を売る。それが売り専と言うもの。 「ふむぅ。君達は合格かな?じゃあ実施に行ってもらおうか。 帰りたい人は帰って良いよ」  矯正は何処かに電話を掛ける  帰りたい…つか、  動けないんですけど。 .
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