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私が彼に会ったのは、名前からだった。
高2間近の3月、陸上部員の私は部員のあや、やす、梅津先輩の4人で春休み中も学校で部活をしていた。
とうに受験時期も終わり、新入生のクラス割りも決まり、玄関の下駄箱にクラス別に名前が張り出されていた。
部活も終わり、私とあや、やすは新入生の名簿を見てた。
どんな名前の子がいるのか、珍しいのはあるのか、知ってる後輩はいるか、ただそれだけの興味本意で見ていた。
「ねえ、見て。重田って名字初めて聞いた。」
「こっちには、うちの後輩いるよ。」
そんな会話を3人でしていると、私の目に1人の名前が飛び込んだ。
「水上 裕太郎」
目が離せなくなった。
ただの人の名前のはずなのに、吸い込まれるような何かを感じた。
目が離せるようになった頃には、もう名前を覚えていた。
私は、恋に落ちた。
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