判断

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判断

「あんたは私の癌だよ。」             もう聞き慣れた。驚くこともない。ただ、児童福祉士の人が聞いたりでもしていたら「児童虐待だ!」と駆け込んでくるかもしれないなぁなんて思って笑ってた。それだけ母さんの声は大きく、窓は全開であった。             ちょっと細めの三階建て(ローンあり)に二台の車、五年前に引っ越してから親父が買ったノートパソコン。家はオール電化。そして両親と兄貴と僕、…妹。 貧しい生活って聴くとなぜか見たこともないスラム街をイメージするけどきっとそんなとこからかけ離れた生活してると思う。 こんな環境だからこそ、僕は不思議でしょうがなかった。「癌」と言う言葉は知っている。専門的なことは知らない。ただその言葉の持つ意味が自然とわかるそんな年齢であった。
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