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兄貴の受験勉強のピリピリ感がドアの向こうから伝わって来たためか。ヘッドフォンを装着。それを通して聞こえる妹の叫び。隣の部屋から鉛筆を地面に叩きつける音。階段を駆け降りる音。そして微かに聞こえた母さんのため息…
兄貴が階段をこっそり降りる音が聞こえ、僕もこっそり降りて行った。
「また派手にやったなぁ…」
「……」
「今度は何よ?」
「…ん」
母さんが指さした先にあったのは食卓テーブルであった。ただの食卓テーブルではない。ランドセルと筆箱と漫画と教科書と…テーブルは妹の私物置き場となっていた。
僕は床から皿が割れた後であろう欠片を拾い上げた。赤い液体が付着している。よく見ると母さんの靴下が赤く染まっているのが見えた。
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