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そこには楕円形のテーブルと事務をこなす作業机が二つある。二つとも本や資料が沢山並んでいる。特に緑のカーディガンが椅子にかかっている方の机は沢山あるのは当然の如く、机の下にも資料が山積みになっている。
一人のナースが奈々に向かって来た。とても腰が落ち着いていて、顔は少ししわがある。
「お疲れ様でした。いつものでよろしいですか？先生」
「いえ、今日はカフェモカでお願いします。オリジナルコーヒーはもう飲み飽きちゃたわ。次は何の豆にしようかなぁ。」
ナースは呆れつつ、コーヒーメイカーの横にある、使いきりのカフェモカの粉を取り出した。
「コーヒーの知識が豊富なのは結構ですが、相変わらずの飽き性ですねぇ。勝手に豆を購入しては作って、飽きたら次はいつ作る事やら。いい加減、豆を潰してくださいよ。」
ナースが指さした先の台所の横隅にはコーヒー豆が入った麻袋が複数並んでいる。奈々は麻袋の一度見て、すぐにテーブルに向かった。
ナースが温めた牛乳で粉をとかしている間、奈々は椅子に座り、テーブルに置いてあった今日のカルテを見直しをし始めた。午前と午後会わせて12件はいつもよりちょっと少ないかなぁと思いつつ、奈々はカルテを見ていた。
「今日の患者さんはどうでしたか？ どうぞ」
ナースが作ってきたカフェモカを貰い、息を吹きかけながら飲んだ。熱すぎるのはどうも苦手だ。
「う～ん。意外とみんな悪くなかったですよ。昔は更生させるのにかなり時間がかかったんだけどなぁ…」
ナースもコーヒーを入れ、椅子に座る。椅子にかかっていたカーディガンを羽織り、かなり落ち着いた雰囲気をだす。
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