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「我は青田坊なり……今代の鬼切りは主か?」
「鬼切り?オニギリ?」
(おまえ、やっぱバカだろ……)
「うるせぇよ!早くなんとかしろよ!」
(相手は青田坊か……やっぱ、素手じゃ無理だよな……)
火留羅さん?素手で戦わせようとしてましたね? 折れますよ?いや、砕けますよ!あんな分厚いコンクリートみたいな胸板を殴ったら!
俺は懇願するように火留羅に食い付いた。
「バカ言ってないで早くなんか出せよ!」
(もぉ……しょうがないなぁ。焔くんはぁ~)
「おまえは未来から来たタヌキ型ロボか!?」
そんなやり取りに嫌気が刺したのか、青田坊は突然牙を剥き出して襲い掛かってきた。
どうする?
たたかう
→にげる
どうぐ
「うわああああっ」
(ちょ、おま!いきなり逃げてどうする!?)
「バカか!?あんなでけぇ腕に殴られたら俺の体はバラバラになるだろうがぁぁあああ!」
全速力で校庭へと駆ける。何も考えずにただひたすらに走った。
だって死にたくないでしょ!?
しかし、その巨体に似合わない異様な速さで俺に追い付いてくる青田坊。
あんたは、アスリートか!
「……しまった。行き止まりだ」
「クフフ……観念するがいい。鬼切りを喰らえば不老不死の力が手に入るらしいからのぉ……ジュルル」
あのぉ……なんか、ヨダレがぼったぼた垂れてるんですけど?
喰うの?俺、たぶん美味くないよ?
ほら!腕とか足とか無駄に筋張ってるしぃ……
校庭の隅、体育倉庫が並ぶ一角で半ば諦め気味にそんなことを考えていると、今まで黙っていた火留羅が喋り出す。
(焔。構えろ……そして想像しろ。眼前の敵を断ち切る力を……この俺を具現化させろ)
「構えろ?具現化?意味わからねぇ!」
「それではイタダコウカ……ぐるああああ!!」
(やらなきゃ、死ぬぞ!!)
「くそったれがぁあああ!」
もう死んだよ……うん。 こんなピチピチの十代で俺はこんな化物の夕飯にされて終わるのか……はあ。 どうせなら、俺もハンバーガー食べときゃ良かったな……雅子さん、夕飯抜くし。
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