第一夜 『アヤカシ始末』

13/15
前へ
/20ページ
次へ
「…………あれ?」 生きてる? 俺、生きてますよぉお!!とてつもなく鈍い轟音が辺りに響く。 まるで鉄板をハンマーで殴ったような音響だ。 それもその筈だ。俺の両手に握られたソレが、青田坊の豪腕を受け止めていたのだから。 「く……くぅ……主、火留羅か?」 (フハハハ!正解だ!これが今代の鬼切り、鳳焔とその使役せし鬼神剣……火留羅様だ!!) 「鬼神剣・火留羅?おまえ、火留羅なのか?」 俺の両手に携えられし深紅の両刃剣。長さは120㎝って所か。刀身から柄まで紅く染められたその剣は、どうやら先刻までのバカ鬼、火留羅らしい。 これが具現化ってやつか。 (焔。説明は必要か?) 「いや、大丈夫だ。たぶんな……っ!」 その言葉に俺は不敵な笑みとたった一言で答える。 同時に両手で力一杯に青田坊の豪腕をはね除ける。 あまりの出来事に驚いたのか、青田坊は一度よろめきながら後退り、両目をパチクリさせている。 なんか、かわいいじゃねぇか。 (んじゃあ、やるか?) 「ああ。いくぜ!」 不思議な感覚だった。 火留羅を正眼に構えると、自然と身体中に力が溢れてくる。 同時に、まるで魂が焼き付くかのように熱くなっていく。火留羅の刀身から舞い上がる炎のせいなのか? よくわからないが、これならやれる。 こんなとこであんなのに喰われてたまるか。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加