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「…………あれ?」
生きてる?
俺、生きてますよぉお!!とてつもなく鈍い轟音が辺りに響く。
まるで鉄板をハンマーで殴ったような音響だ。
それもその筈だ。俺の両手に握られたソレが、青田坊の豪腕を受け止めていたのだから。
「く……くぅ……主、火留羅か?」
(フハハハ!正解だ!これが今代の鬼切り、鳳焔とその使役せし鬼神剣……火留羅様だ!!)
「鬼神剣・火留羅?おまえ、火留羅なのか?」
俺の両手に携えられし深紅の両刃剣。長さは120㎝って所か。刀身から柄まで紅く染められたその剣は、どうやら先刻までのバカ鬼、火留羅らしい。
これが具現化ってやつか。
(焔。説明は必要か?)
「いや、大丈夫だ。たぶんな……っ!」
その言葉に俺は不敵な笑みとたった一言で答える。 同時に両手で力一杯に青田坊の豪腕をはね除ける。 あまりの出来事に驚いたのか、青田坊は一度よろめきながら後退り、両目をパチクリさせている。
なんか、かわいいじゃねぇか。
(んじゃあ、やるか?)
「ああ。いくぜ!」
不思議な感覚だった。 火留羅を正眼に構えると、自然と身体中に力が溢れてくる。
同時に、まるで魂が焼き付くかのように熱くなっていく。火留羅の刀身から舞い上がる炎のせいなのか? よくわからないが、これならやれる。
こんなとこであんなのに喰われてたまるか。
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