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「お、お客様……申し訳ございません……もう、ハンバーガーに使うバンズが品切でして……」
「えー!!まだほんの50個しか食ってねぇよ!?って、ぎゃふぅっ」
「死ね!!妖怪、胃の中が四次元空間め!」
ほらな。一体、普通の人間のどこにそんだけ入るんだよ……。
すかさず、放たれた俺の拳が蒼矢の右脇腹を捉える。ちょ、おま!文章にもしたくないようなものを吐き出すんじゃねぇ!!
あーあー。店員さんはじめ、周りのお客さんまでドン引きじゃないかよ。
「とにかく出るぞ!」
「おげぶぼえろおろげぼえ~~……」
先程の俺のリバーブローでどうやら意識を失ったらしい蒼矢を肩に担いだまま店外に出ると、外はもう真っ暗だった。
ふと携帯の時計に目をやると、ゲッ!もう9時かよ!慌てて走り出す俺は、背中に生暖かい湿り気を感じたがもう何も言うまい。
とにかく急ごう。
じゃないと……
「こ、殺される!!」
まだ若干暑さが残る9月の道をバカを担いだまま走り出す。
とにかく急ごう。早く帰らないと、とっくに門限が過ぎている。
もし見つかったら……俺の頭の中におぞましい想像が過る。
「くそ!おもてぇんだよ!筋肉バカが!」
悪態をつきながら浮かんだビジョンを必死に掻き消そうとする俺だった。
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