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「んで?そのバカを担いでここまで走ってきたら、門限を過ぎていた……と?」
「はい……」
「何か弁明は?」
「ありませんです……」
硬いコンクリートの床が正座の足を痛め付ける。 どうして、俺はこんなことになっているんだ? それはそう。隣で未だ気を失ったままのバカのせいだ。あ、気が付いたみたいだ。
「で、水上にもいちお弁明聞いとこうか?」
「いーじゃんかよぉ~別に悪いことしてたわけじゃないでででで!なんで?なんで木刀で頬をなじるの?」
「もういい……水上?」
「はい?」
「まずはおまえから仕置きだ」
「ごぶぉ……そこはさっき、焔にやられ……た、と、ごぼぉげぇろぉ」
「ひ、ヒィィィ!」
目の前で、蒼矢の右脇腹がひしゃげたような音を上げて木刀で抉られる。
あまりの激痛に、白目剥きながらなんか口から出してるし……やばい。
やばすぎるよ。この史上最強の寮母さんこと、井ノ原雅子女史(24)。艶やかで長い黒髪をピンクのシュシュでポニーテールにしていたり、胸は巨乳で腰は美しく括れており、顔だって黙ってりゃ女優か?ってくらいで、スタイル抜群の絵に描いたような美人さん。なんでも、うちの剣道部のOGで当時の学園のヤンキーどもを、竹刀一つで更正させたとか。
そんな黒い伝説だらけの雅子さんが、何故この奏風学園・男子寮の寮母なんかをやってるかというと、なんでも実家が代々、男子寮の寮母をやってるという物好きな家系らしく雅子さん自身もなんの迷いもなく就職を決めたとか。
全力で止めてくれよ……学園長!!
なんて余計なことに突っ込んでいたら、雅子さんの眼光が鋭く俺に向けられた。
やばい……死んだな。これは。
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