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後戻りは出来ねぇだと? はっ!上等だぜ。昔からずっと知りたかったことだ。洗いざらい全て喋らせてやる。
「ああ。聞かせろ」
少しの沈黙の後で、そいつはゆっくりと語り始めたのだった。
(まず、俺様の名前は火留羅(かるら)。ま、おまえも知ってるとおり鬼の一族だ。)
「んでその火留羅さんがどうして俺なんだ?」
(まあ話すのはめんどくせぇから見せてやるよ)
「……くっ」
次の瞬間、脳内に膨大な量のビジョンが流れ込んでくる。火留羅と同じ様な甲冑に身を包んだ武士と深紅の炎を纏った鬼がたくさんの妖怪と戦い討ち取っていく様。
はたまた美しい女性とやはり深紅の鬼が、戦っている様子。
ははあ。なんとなく解ってきたぜ。
俺も存外、頭は悪くないのかもな。
「つまり、俺は先祖代々からおまえと共に戦って来たのか?」
(そうだ……この火留羅様と契約することで、退魔の力を手に入れてな)
「契約……だと?」
(ああそうだ……おまえの先祖たちもみな、俺と契約してきた)
「契約するとどうなるんだ?」
また暫くの沈黙。嫌な間だな、おい。
(最終的には俺と同じになる)
「は?鬼になっちまうのか?」
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