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子供を抱えて逃亡すること二日。
エヴァルは戦争放棄を犯した重罪人としてタルジス政府から追われることになった。
エヴァルは自分でも馬鹿なことをしているということは分かっていた。
しかし彼女の瞳が、最期の言葉が―
拒むことを許さなかった。
彼女は死神に射ぬかれ死んでしまった。
何故かチクチクと痛む胸を押さえながらエヴァルはひたすらに走った。
刹那―一人の女の子が泣いていた。
まだ小さいけれどタルジスの軍服を着ている。
「うわぁぁぁんっ!!!ヒック……フランっ…ご、ごめんなさぃっっ!!」
”フラン“と言う名前にエヴァルは足を止めたが、手遅れと言うことがわかると歯を食いしばり、またチクチクと痛む胸を押さえ、子供を抱えて走り出した。
「はやくっ……はやくあちらへの扉を見つけなければっ」
エヴァルは走り出し、その振動できっとアリウであろう子供が目を覚ました。
アリウはその女の子とフランの亡きがら
――フランを見て気絶してしまった。
「――――」
エヴァルはアリウの声を聞き、より走るスピードを上げた。
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