This Paint is red

3/16
前へ
/20ページ
次へ
「坊ちゃん。失礼します」 エヴァルは主人のアリウ・シェーナの部屋のドアをノックした。 返事は無かったが、いつものことなので、一言“失礼します”と言う言葉を添えて、部屋のドアをあけた。 部屋はずいぶん広く、子供部屋にしては豪華で広すぎるほどであった。 いわば、ここは大きなお屋敷なのだ。 いまどき日本にこう言う家があっていいのかと言うほどの家。 どこか中世のヨーロッパを思わせるこの家はエヴァルが一人で作り上げたのだ。 エヴァルは部屋のカーテンをめいいっぱい開け放ち、主人に向かって「坊ちゃんおはようございます。今日もいい天気ですよ」 その言葉が聞こえているのかいないのか、アリウは布団を深くかぶり、朝日を避けるように寝返りをうった。 「坊ちゃん……本当は起きているんでしょう??さぁっ起きてください!今日は学校へ初めていく大切な日ではありませんかっ」 「うぅぅ………」 アリウはけだるそうに布団から顔だけ出してみる。 「まぶしい……」 「仕方ありませんよ。さぁ、起きてください」 朝日の光で目を細くしているアリウをよそに、エヴァルは手早くアリウの着替えを済ませた。 「今日の朝食はブリオッシュと朝から私が摘んで参りましたハーブがありますので、ハーブティーです」 「そうか」 「では、私は朝食を持って参りますからダイニングでお待ちください」 エヴァルはアリウがダイニングへ行くことを確認すると、部屋の扉をしめて朝食をとりに行った。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加