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「坊ちゃん。失礼します」
エヴァルは主人のアリウ・シェーナの部屋のドアをノックした。
返事は無かったが、いつものことなので、一言“失礼します”と言う言葉を添えて、部屋のドアをあけた。
部屋はずいぶん広く、子供部屋にしては豪華で広すぎるほどであった。
いわば、ここは大きなお屋敷なのだ。
いまどき日本にこう言う家があっていいのかと言うほどの家。
どこか中世のヨーロッパを思わせるこの家はエヴァルが一人で作り上げたのだ。
エヴァルは部屋のカーテンをめいいっぱい開け放ち、主人に向かって「坊ちゃんおはようございます。今日もいい天気ですよ」
その言葉が聞こえているのかいないのか、アリウは布団を深くかぶり、朝日を避けるように寝返りをうった。
「坊ちゃん……本当は起きているんでしょう??さぁっ起きてください!今日は学校へ初めていく大切な日ではありませんかっ」
「うぅぅ………」
アリウはけだるそうに布団から顔だけ出してみる。
「まぶしい……」
「仕方ありませんよ。さぁ、起きてください」
朝日の光で目を細くしているアリウをよそに、エヴァルは手早くアリウの着替えを済ませた。
「今日の朝食はブリオッシュと朝から私が摘んで参りましたハーブがありますので、ハーブティーです」
「そうか」
「では、私は朝食を持って参りますからダイニングでお待ちください」
エヴァルはアリウがダイニングへ行くことを確認すると、部屋の扉をしめて朝食をとりに行った。
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