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―30分後―
「さぁ、坊ちゃん行きましょうか」
「あぁ、あと10分だ。5分で着け」
屋敷から学校までは約10キロ。あるいて10分では到底間に合わない。
しかし彼は――エヴァル・シェーナは可能にしてしまう。
エヴァルとアリウが立っているのは屋敷の屋根。
エヴァルはアリウを抱き上げると思い切り跳躍した。
屋根から屋根を渡り、人では通れない所を目にも止まらぬ早さで駆け抜ける。
アリウが目を開けると目の前には学校があった。
学校の時計は8時19分。
家を出たのは8時15分。
エヴァルはたった4分で10キロを走りぬけた。
「坊ちゃん。着きましたよ」
「上出来だ」
二人は何事もなかったように歩きだした。
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