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僕はしばらく空間の移動を感じていた。そのうちにまた足が離れていき、再び空中に浮かぶ体制になっていた。
気がつくと、僕はまた空高くを浮かんでいた。しかしさっきの空とはまた違う場所だ。
さっきの青く澄んだ空とは違い、赤黒い、凶暴な色を隠そうともしない空だ。
見通しも悪く、下の景色は黒煙が立ち上っていること以外見えない。
それでもさっきと同じように、僕の意志とは関係なしにゆっくりと降りていく。黒煙からは火薬の匂いが含まれているのがわかった。
そしてまた、黒煙の中に小さいが強く輝く光を見つけ出した。どうやらここでもその光に向かって進んでいるようだ。
黒煙を抜けると街が見えてきた。もちろん普通の街じゃない、燃えている。
黒煙は燃え盛る家々と木から登っていた。それにしたがいだんだんと街の様子も鮮明になっていった。
広場には老若男女関係なく様々な死体が無造作に倒れていた。――戦場だ。
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