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「実はね~、彼らの父親とは知り合いでね~。神谷君のことを話したら~、こんなことになっちゃったんだ~。あはは~、ごめんね~。」
ニコニコと笑いながら話す吉永先生の前に、本来の湧くはずの怒りや困惑といったものは全くなく、メンバーは皆全身にただ脱力感を感じていたのだった
「でもまぁ……、色々と収穫は~あったんじゃないかな~? ねぇ~、神谷君~。」
吉永先生が見つめる先、大和達がそっちに目を向けると、無表情のまま立つ優真の姿があった
「……先生、あいつらが頂点って言うのなら、あいつらに勝たなきゃ、甲子園で優勝、出来ねぇんだよな。」
真剣な表情のまま、優真がそう言うと、吉永先生もまた珍しい真剣な表情でそうだよ、と答える
その答えを聞いた優真は、黙ったままベンチの方向へ歩きだし、未だに気を失ったままの彰のそばに腰を下ろした
「……もう食べれねぇよ~、けどお前にはやんねぇぞ、ユーマぁ。」
余りにもおきまりすぎる彰の寝言(?)に、流石にカチンときたのか、優真は彰の頭をおもいっきりはたいて叩き起こす
その痛みで飛び起きた彰は、何が起きたのかわからずきょとんとしていた
そんな彰を尻目に優真は立ち上がると、吉永先生をじっと見つめながら言う
「……俺は、佐藤と勝負した時、正直勝てる気がしなかった。あんな気持ち、コウや神村と勝負した時には感じなかったんだ。 ……なぁ先生、どうしたら、あいつに勝てる?」
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