早い者勝ち

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その放課後のことだった。 「あ、の……先輩っ!」 委員会の後輩くんが顔真っ赤にして私のクラスへとやってきたのだ。 私は何事かと思い、その子の名前を呼びながら駆け寄った。 「どーしたの、雅(ミヤビ)くん」 他人よりも頭一つ抜いている大柄な彼――――、雅郁斗(ミヤビ イクト)くんは私が傍に行くなり、用件を口早に言った。 「今度の委員会が明日に変更になったそうです。えと、時間は午後四時半から会議室で、ということです!」 ……会議室。 ってことは何かの資料作成の手伝いかな? 私は分かったと言うと、ついでに雅くんに尋ねた。 「……委員会、ってことは三木もだよね?」 「あ、はい。でもちゃんとオレが伝えるんで麻衣先輩は帰ってもらって結構ですよ」 ……そうなのだ。 何の因果なのか、私と三木は同じ委員会。 嬉しいことは嬉しいんだけど、どことなく気まずい。 特に、雅くんがいる時が。 「……麻衣先輩と三木先輩を喋らせたくないし」 「ん、なんか言った?」 「あっ、いえ!では先輩、また明日!」 にこっと人当たりのいい笑みを浮かべると、雅くんは三木のところへと行った。
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