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「……麻衣、遅かったね」
下駄箱に行くと、すでにそこにいた春子が私に気が付いた。
「ん、あぁ、雅くんから連絡もらっててちょっとね」
靴を履き替えると、琳が私に抱きついてきた。
「雅くんってぇ、あのおっきい後輩くんだよねぇ?」
「……琳とは違ってね」
「こらぁ!今、琳のこと暗にちっこいって言ったでしょー!」
むぅ、と頬を膨らませて春子に怒る琳。
まーた始まっちゃったよ……
琳と春子はいつもこんな感じだ。
どうやら春子は琳のリアクションが面白いらしく、毎日必ず一回こうして琳で遊んでいるのだ。
「ほら、春子。そこまでにして帰るよ」
私は琳に助け船を出すと、さっさと歩き始めた。
「あっ、待ってよぉ」
それを琳と春子が後ろから追ってきた。
……もう、あの頃みたいに花いちもんめをしなくたって、三木が手を繋いでくれなくたって。
私は今を楽しく生きてる。
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