あの頃の話をしようか

5/5
前へ
/57ページ
次へ
あいつはもう覚えてないのかもしれないけど。 どうして私を伊藤と呼び始めたのかさえ、忘れてしまったのかもしれないけど。 「私も厄介なのに惚れたなー」 足に視線を落として、ハッと自嘲気味に笑った。 ああやって周りに誰もいなければ話しかけてくれない。 特別なのに、友達というには遠すぎる。 私らの関係って何だろうね……? 伊藤に合わせて、三木と呼び始めた。 ――――けど 「康太くん……」 あの頃みたいに私はあんたをそう呼びたい。  
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加