鞭打ち人への道

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     さて、その数日後、私の自宅に一通の封書が届いた。差出人の欄には仰々しいスタンプ擦りで“鞭打ち人・選考委員会”と印字されていた。  中をあらためてみると、そこには私がいつのまにか鞭打ち人の最終試験をパスしており、○月○日付けで貴殿を鞭打ち人として雇用する、という旨が書かれた国からのお達しだった。なお、近々に組織から指定の鞭が届くこと、細かな給料形態や休日については○月○日の○時に商工会議所の四階で合同の説明会が開かれるから、そこで詳しく聞いてくれ、との由。  また、説明会までに何か不都合が生じた場合の連絡先と、これから鞭打ち人としてやっていく上での注意事項や禁止事項などが付帯された別紙にびっしりとつづられていた。  私はこれを見て、思わずニヤけてしまった。さては例の三人、あの株の件で相当上手く立ち回ったんだな。まぁ、それはともかくとして――ばんざい!私はついにやりました。とうとう夢にまで見た鞭打ち人の口にありついたのだ。高位の地位をおとしいれた。今日から私は世界を相手どり、片っぱしから鞭をくれてやる。
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