鞭打ち人への道

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   彼らはなにがなんでも場のイニシアチブを制さないと気が済まないという可哀想な連中なのだ。肥大したエゴと虚栄心。その背景にあるのは、膝を抱えた劣等感。  その証拠に、一人の男が上記のように“私は一大プロジェクトに参与できたくらいで有頂天になっている小人物たちをどちらかというと管理監督する立場にある人物である”、というような雰囲気のことをほのめかすや否や、それを黙って聞いていた(私を除く)二人のうち一方がすかさず口を開き“自分は一大プロジェクトに参与できたくらいで有頂天になっている小人物たちをどちらかというと管理監督する立場にある人物をすら、金で雇う側の人物である”というような雰囲気ことを示唆し、“自分のほうがより高位のポストについている”ということを、それとなく匂わせた。  するとさっき“一大プロジェクトに参与できたくらいで有頂天になっている小人物たちをどちらかというと管理監督する立場にある人物である”というようなことを言外に匂わせていた人物が慌てて前言を撤回する動きを見せ、“自分は確かに今、一大プロジェクトに参与できたくらいで有頂天になっている小人物たちをどちらかというと管理監督する立場にある人物”に過ぎないわけだが、しかしそれはあくまでも義理ならびに友情といった不可抗力の要請で一時的に甘んじている例外的な地位に過ぎず、いわばそれは友情出演みたいなもので、本来自分が納まるべきポジションは、“一大プロジェクトに参与できたくらいで有頂天になっている小人物たちをどちらかというと管理監督する立場にある人物をすら金で雇う側の人物をすら影で操り、容赦なくアゴで使う人物”であるというような含みのことを、抜け目なく会話の行間の中に滑り込ませた。
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