お鶴の恩返し

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富士山の噴火した翌年の事でした。 「庄屋の奴ばあさんが一生懸命作ったわらじを買い叩きやがって。これじゃ正月の用意も出来んわい。」そうぼやきながらお爺さんは、峠の細道をとぼとぼ歩いていました。 すると…… シクシク…シクシク… 谷底の方から女の啜り泣く声が聞こえて来ました。お爺さんが谷底へ降りてみると、帯を前でむすんだ(いわいるおいらん結び)女が熊用の虎バサミに足をはさまれ泣いていました。 どうやら、峠の茶屋(最低の売春宿)から逃げてきた女のようです。 お爺さんはかわいそうに思い、虎バサミを外すと家に連れて帰りました。
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