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ピクピクッ。
あ、動いた。
そっと羽で卵を撫でる。
そんな夢を見た。
そんなこと叶わない。
だって私は卵を産むことができても、その卵から子供は産まれてこない。
―――子供が欲しいな。
そんなこと無理なのは、分かってるんだけど。
あーあ、この卵から産まれたりしないかな。
産んで間もない、そして中から産まれてくることのない卵をそっと撫でる。
そろそろ人間が卵をとりにくる時間だ。
私は自分の産んだ卵をとられるところを見たくないので寝たふりをした。
―――バイバイ、人間においしく食べられてね。
―――母親の言うことじゃないよね、ハハッ。
心の中で自分を笑ってみた。
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