東方賭博遊戯

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「賭けに勝った……どういうこと?」  いまいち掴めない。この少女のキャラも掴めない。それに苛立つ霊夢の反応を、どうやら凸子は楽しんでいるらしい。それもまた気に食わない。 「ああ、説明が必要だね。こいつは失礼」  ぽりぽりと頭を掻きながら、彼女は懐から何かを取り出した。  それはなんの変哲もない、立方体の物体。それは、賽子だった。 「空からカレーパンが降って来たらいいな~」  その賽子を宙に放り、突拍子も無いことを彼女は呟く。 「唐突に何言ってんの。降って来るわけないじゃない」 「……ところがぎっちょん」  パシッと賽子を掴み、彼女はにんまりと笑った。  バフッ 「いっ!?」  突如、霊夢の頭に何かが落ちた。痛くは無いが、突然の事に、彼女は目を丸くする。 「どうやら私に会いに来てくれたみたいだから、それはサービス」  霊夢の頭に当たり、足元に落ちた物……それは、袋に包まれたカレーパンだった。 「あ、あんた今何したのよ!」  袋を破り、カレーパンを頬張りながらも、霊夢は尋問する。 (食べるんかい……)  リグルはもはや突っ込まない。 「だから言ったでしょ? 賭けですよ、賭け」  賽子を見つめながら、凸子は説明する。 「私にはちょっとした力があってね。確率を操ることが出来るんですよ。例えば、瀕死の人が蘇生する確率、おみくじで大吉を引く確率、カレーパンが降ってくる確率、それに……貴女の言う外の世界から、私がこの幻想郷に来る確率」 「!」 「あらゆる不可能も、あらゆる確実も……私は50パーセントにすることが出来るの。一回の望みにつき、一度きりだけだけど」  彼女に自慢げな様子は見えない。もとより自分の能力をひけらかすつもりは無いらしい。  恐らく、凸子は自分を理解してもらうために、能力を見せた。それだけ、自分に食いついて来る霊夢を気に入り、彼女を知りたくなったのだろう。 「……危険ね、あなた」  しかしその行為は、霊夢には逆効果だった。  幾度に渡る異変解決の経験が、霊夢を一つの結論に導いたのだ。  すなわち、凸子の能力が、危険なものだと。
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