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そいつはまた随分な接戦だ。ジョーカーもさぞ忙しかったに違いない。
「まあ、弾幕勝負は……別に語ることもないんじゃないかな。妖怪も人も、神も対等に戦えるのがスペルカードルール、でしょ?」
リグルの話の内容からして、その相手の弾幕に、別段目立った特徴はないようだ。
ふと、つい先程読み流した号外の内容を思い出す。
「……で、私にその宝物を取り戻してこいってこと?」
「取り返してくれるの!?」
つい数分前まで会話も出来ない状態だったチルノが途端に復活する。子供とは現金なものだ。
「言っておくけど、あんたの宝物に興味は無いわ。でも……その勝負しにきた子っていうのは、気になるわね」
霊夢は、チルノの宝物には本当に、心の底から興味はなかった。
ただ、ここで無視するのも面倒になりそうな気がするし、何より巫女の勘が語っている。この者に会うべきだと。
「そうと決まれば即行動。ほら行くわよ? 涙拭きなさい。あと鼻水汚い」
鼻紙をチルノに渡し、霊夢はお払い棒を握り締めた。
「で、リグル? そいつは今どこにいるの?」
「えー、案内するの?」
「あんた何しに来たのよ。わざわざ楽園の巫女が仇取ってあげるって言ってんだから、協力しなさい」
「仕方ないなあ」
正直、リグルにとっても蛙などどうでもいいのだが……チルノは大事な友人だ。彼女もまた、それに同行することにした。
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