39人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
「何かあったの?」
「それが……変な人間に勝負しようって挑まれて……」
「ババ抜きで?」
「いや、花札……あれ、なんで弾幕勝負じゃないって分かったの?」
意外な質問に、ミスティアは目を丸くする。
「ちょっと野暮用でね、そいつを探してんのよ。しかし変な奴ね。妖怪相手にカードゲームで勝負なんて」
霊夢はうーんと顎を撫でながら考える。
「ところで、みすちーは何を取られたの?」
「……鰻」
リグルの質問にミスティアは心底悔しそうに呟く。
「今が旬なのにい!」
「取れるもんならなんでもって感じだねこりゃ……どうするの?」
「愚問ね」
リグルの問いに、霊夢は自信に満ちた目で返す。
「そいつにとりあえず勝てばいいだけじゃない」
「でも勝てるの? 霊夢が弾幕勝負で負け知らずなのは知ってるけど……今回は違うっぽいよ?」
「だからこそよ。たとえ弾幕勝負以外でも、私に挑んだらただじゃ済まないってことを教えてあげなきゃ!」
(いや、挑むのはこちら側なんだけど……)
根拠無く自信満々の霊夢の様子に、リグルは苦笑するしかない。
「それじゃあミスティア、教えなさい。そいつは今どこにいるの?」
「仇取ってくれるの?」
チルノと同じパターンである。
「ただし、勝ったら私に鰻料理三食分くらいは奢ってもらうわよ?」
「ぬぬ……足元を見て……」
背に腹は代えられない。ミスティアは渋々条件を承諾し、もと来た道の奥を指指した。
「あの奥に、日当たりのいい場所があるんだけど……そこで休んでたわ。荷物がかなりあったから、多分まだいると思う」
「上出来ね。これで今夜は鰻パーティーよ!」
「鰻の仇だ!」
「いや、君の仇でもあるんだからねチルノ……」
意気込む二人に振り回される一人。そんな一行が森の闇に消えていくのを見つめながら、ミスティアは呟いた。
「……お酒は有料でいいよね?」
最初のコメントを投稿しよう!