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悠と最初に会ったのは、去年の暮れのこと。
あるオンラインゲームのオフ会だった。
そのゲームで、私はそこそこに有名なギルドの2代目ギルドマスターをしていた。
ゲームに関するブログのランキングでも上位にいたし、有名税なのか巨大掲示板で名指しで叩かれることも多かった。
ゲーム内でユーザーイベントを仕掛けるイベントギルドだったため、いつのまにかイベント運営のために色々と背負う羽目にもなっていた。
うるさい上司や足を引っ張る同僚もいない自由な世界で、冒険の旅に出るのが息抜きだったはずが、どうしてこうなったんだろう…
ゲーム内での自分の虚構に悩み始めた時期でもあった。
その日はゲームに関するブログを記していたブロガーのオフ会で、良く言えば個性豊かな、まぁ、やたらと『濃い』参加者ばかりだった。
30人近く集まったこともあり、悠と特に親しく会話をした記憶はない。
でも飲み物の注文をまめにしたり、場を盛り上げようと気遣う姿に、『気配りのある奴だな』と感心した。
そして私と同じZippo遣い、それも若いくせに生意気にもスターリングシルバー持ちだったのが印象に残っていた。
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