終末の序章

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家に帰ると、いつものように妻の香奈と、5歳になる娘の弥生が迎えてくれた。 美容院にでも行ったのだろうか、ストレートだった長い髪にゆるやかなパーマがかかっていた。 「おかえりー!」 元気に笑う弥生を抱き上げると弥生のポニーテールが揺れた。 もうすぐ5歳になる弥生の体重は順調に重くなっていった。どうか自分に似ないでくれ、と思いながらも暖かい気持ちに包まれる。 「パパ汗臭ーい」 弥生に額を叩かれてしまった。 香奈と顔を見合わせ、笑った。 いつもキリッとした香奈の顔がクシャッとなるのを見るのが鈴木は好きだった。 「ご飯にする?」 香奈の質問に頷きながら、テレビを付けた。 19時まであと30分だ。 弥生が小さな身体を弾ませながら、ご飯ご飯~と口ずさんでいる。
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