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「私としたことが、申し訳ありません。まだ名前を言っていませんでしたね。私は朝比奈千秋と申します。この学校で教師……のようなものをしております。」
教師のようなもの?
一体なんだろう……
ゆいは色々と事情があるのだろうと思い、聞かないようにした
「えと、朝比奈さん。どうして私をお嬢様と…?」
「私のことは千秋とお呼びください。」
いやいや、それじゃあまるで……
千秋は話を続ける
「私の家系は代々執事をやっておりまして。この仕事についたばかりの頃、癖でお嬢様と呼んでしまったんです。」
やっぱり執事だったんだ
それにしても癖でそう呼んじゃうってすごいな…
「しかしこの学校にいる女性はそう呼んだほうがお喜びになるようで、それからずっとお嬢様と言っているんです。」
まあ、千秋さんみたいなイケメンにお嬢様って言われたら皆嬉しいだろうね
「確かに、今の時代お嬢様なんて呼ばれないですから、嬉しいんでしょうね」
千秋の横を歩きながらゆいは相槌を打つ
でも、私はお嬢様って呼ばれるの慣れないな
今までの生活からしてもね
さん付けにしてもらいたいけど…大丈夫かな…
よしっ!
「あ、あの!」
歩みを止めると千秋も止まり、ゆいのほうに振り返る
「わ、私は、お嬢様と呼ばれるとちょっと変なカンジっていうか、慣れないっていうか……。できれば、普通にさん付けで呼んでもらいたいなーなんて……」
俯いていたが、最後の方は千秋の顔を伺いながら言った
少しの間沈黙が流れる
「……………」
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