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「俺、真田奏(さなだそう)ってんだ。よろしくな、九条。」
ニッっと人懐っこそうな笑顔を見せる。
「俺いっつも多めにパン買うからさ、遠慮しないでそれ食ってな」
「う、うん。ありがとう。」
いいのかな、ほんとにもらちゃって
「ゆい、もらっていいよ。ていうか、あんたは学習能力なさすぎるのよ!どうして毎回10個も買うのよ!」
理沙がツッコミを入れる。
「だって、女子がいつも欲しがるから自分のぶんがなくなっちまうんだもん」
「はあ?何それ?自分がモテてます宣言なの。ま、いつもは女子に囲まれてる奏も今日は誰ひとり寄ってこないわねー。」
「ん?そういえばそうだな、気付かなかった。」
嫌味のつもりで言った理沙は、まるで女子なんか気にしてなかったというような真田くんの発言に大きなため息をついた。
それにしても、二人の会話は息が合っている。
「…二人って、仲がいいんだね。」
「「はあ?どこが。」」
二人そろって勢いよくこちらを向き、そう言った。
ほら、やっぱり息が合ってる。
「フフっ。」
思わず笑ってしまった。
「ちょっと、何笑ってるのよー。」
「お前の猫かぶった性格と本当の性格があまりにも違いすぎておかしいんだろ。」
棒読みで真田くんが言う。
「ちょ、どういうこと!ね、そうなの、ゆい!」
私に振るんだ…。理沙は面白いなあ
「さあ、どうかなー。」
わざと意地悪く言ってみる。
初対面の子と短時間でここまで仲良くなれたのは初めてで、私は自然と素の自分を出せていた。
そんなこんなであっという間に放課後になった。
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