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「は、はい」
自己紹介を頼まれた俺は、坂町を無理矢理蹴り退かし、教卓の近くに立った。
ザワザワ
「坂町と知り合いみたいだな~」
「すげー…」
な、なんか…さっきの坂町とのやり取りのせいで、変に注目を浴びてるぞっ!?
俺はガチガチになりながら、搾り出すように声を出す。
「きっ岸川夏芽です……、よ…ろしく…お願いします……」
始めの音量はよかったものの、段々と小さくなってしまったのが自分でもわかった。
きっと、顔も赤い。
「「……っ、か、可愛いなっ」」
少し俯きながら恥ずかしさに堪えていると、教室にいる生徒の一部から声が上がる。
「は…?」
気のせいであってほしい。
今…可愛いって聞こえなかったか?
「やばいな、あいつ…」
「可愛いな」
コソコソと話しているみたいだけど…聞こえてるぞっ!
お、俺が可愛いだと?
ふ、ふざけんなぁっ!!!
「ふざけんな」
……ん?
まてよ。
俺は今、口は開いてないぞ?
そろっと斜め後ろを振り向く。
そこには…
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