鍛治屋な若銃士

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鍛治屋な若銃士

炎で溶かした黒鉄を 銀色の剣に鍛える。 彼は城下街で店を構える 鍛治師である。 名はジュリアン。 幼少期に親を亡くし最近最愛の師匠も失った天涯孤独な若者。 彼は銃士教団中でも最強の階級1stクラスを目指す若者である。 「お前が鍛える刀剣は世界の鍛治屋の中でも最高級だよな?」 「師匠の名を汚すために鍛えられたわけじゃねえ!!当たり前だ!!」 「鍛治屋でいればイイのによ?何故銃士にすがる?喧嘩も強いし刀も打てるんだからそれで構わないだろう?」 「オトコは夢を捨てねえ」 「そうかい」 ジュリアンは昔から銃士教団 の1stクラスに憧れ続けていた。 世界中が魔物による混沌に 怯えるようになって10年・・・。 立派な鍛治屋になっていた彼だが同時に最強階級を与えられた銃士となっていた。 だが彼は今も自分の店で刀剣を鍛えている。 「何だと?おれが何故教団から階級を剥奪されるんだ!!国家が与えた階級なんだろ?何でだよ!! おい!!ふざけんな!!おい!!」 ジュリアンはかつて史上最年少の1stクラスの銃士だったが彼のカラダが原因で階級を剥奪されたのである。 そのカラダとは・・・。 「星座の血」である。 「銃士の夢に情熱を注ぐのは構わんが店は継いでもらうからな?」 「任せろ!!アンタの店はおれの店!!死んでも守ってやる!!」 「そうかい」 カルロス・ブルブラック。 ジュリアンの師匠で伝説の鍛治師。 世界中で彼を超える鍛治師は いないとまで言われた人物で ジュリアンは彼から全てを学んだ。 「イイか?黒鉄は赤ん坊で刀剣は 紳士だ守るための剣を鍛えろ」 「分かってるさ」 武器として刀剣を鍛える鍛治師と違い彼は守るための刀剣という言葉を諦めなかった。 盾にはならなくても自分をあるいは愛する人を守るために抜かれる刀剣を鍛えることが カルロスの夢である。 彼にとってジュリアンは最後の希望。 死に際それに賭けたのである。 家族以上の深い絆に。
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